深沼記事 のコピー
萩原恭次郎自伝的随筆 

…ある時は鉄工所へ行った。


ある時は畑へ鋤鍬をもって出掛けた。




ある時は秘密結社的存在をつくった。

諏訪町の長岡屋と云うそば屋の二階に


よく集った。


僕等の周囲には社会主義的人物は

一人もなかったので、


幼稚ながら議論が戦わされると共に、


熱っぽい感情に強く支持されていた。

 

赤十字の雇に入った。


六ヶ月ばっかで止めた。

 

 この頃、非常な興味をもって、


友人の新聞記者の家へ行って


通信記事や新聞記事を
手伝った。


農村運動を起すのが、我々の希望だった。


萩原朔太郎氏にもこの頃よく逢わした。


その後同氏にすすめられて、


文学の研究会を開いた事があった。


この時の氏は誰が欠席しても


氏は欠席しなかった。


黒化社の、深沼火魯胤君も


やはり同市で新聞記者をしていたので、



互いに親しく成り初めた。


僕はこれらの間に愚劣な



詩を書いていた。


学校を断念した代りに、



いわゆる二十才的勢力で

手当たり次第本をあさり読んだ今、

東朝の記者をしている


山崎晴治氏など先輩として

読書会もつくられた。


僕は極端にこの頃無口で

づい分したしい人の前でないと


口をきかなかった。

喋ると語調が激したようになるので、

一層無口でいた。


今思えば、二十才頃、何が
 

自分にあったろう。


思い出そうとしたって何もある道理はない。



すべては毛のはえかからんとした


二十才の頃の

                体臭のようなごっちゃな、


    むし暑くむんむんしていた


         頃だった。…



深沼詩上毛新聞 のコピー
 

<虚無の火焙り>

 

夢をみたものだ

女が男を殺す夢をだ

それからそれから

ブルジョアの悔恨が

虚無を生かすのだろう ホホヽヽヽ

虚無の悔恨が

ブルジョアを生かすのではないの?

馬鹿なことを!

糞でも喰ヘツ  

 噴火口の上に  

 爆弾を抱いて立つ俺達

女に棄てられたつて

何を畜生!

口惜しくないぞ

針のさきでちょつとでも

ちよつぴりでも突ッついてみろ

ホホヽヽヽ

天に冲する血が遼る

毒血が狂奔するんでせう

ろくでもないあまつちよ奴

ブルジヨアの臀肉を削ぐ  

 血刀を振りまわし  

 飢餓軍の鬨の聲とヾろく

太陽を

引きずり下して

眞ッ暗闇にするか

盲滅法に突貫すねのはいヽ

キヨンキヨンするなよ痩せ犬

ホホヽヽヽ

ゴミ箱でも漁りたいの

パン屑を──ホーろ

間抜けたことをするない

ゲラ、ゲラ、ゲラ、ウープ  

 わが親愛なる飢餓軍  

 肋骨、爆發、××

悲鳴

叫喚

火薬の臭ひ

××の土偶の棒が

光るものを抜いて来たわい

ホホヽヽヽ

お生憎様

隠れ場所なんかありやしないわ

勝手にまごつきやがれ

ついでだ──お前もか………  

 ヤー同志よ

俺達の心臓の火焙りだ

深沼詩日本帝国の激怒
 

<日本帝国の激怒 >  

■は発表紙において活字が潰された箇所

 

■■を火葬にして

粉んなれ粉んなれ

■■! ■■! ■■!

大理石造りの便所に

たれ固めた

二千五百七十三年の

■■■■■■■■■■■

この糞こそは

愛國の薬だぞ

恐ろしいウヂ蟲がわく

■■■■■■■!

■■■■■■!

死んだ!

くたばった

何を き損ないの

無産者の死肉まで喰ふ

汚されるケダモノ奴

憲法

民刑法

犯罪

無産者泣かせのコリヤ

無産者虐殺

公判

懲役

監獄

まるでアベコベだぞ

■■■

アゾヒスムスだ

火葬は要らぬ

■■■への突貫

■■の一齋■■■ でいヽ

刃物も要らぬ

■■■■■■■間抜けづら

夜も寝ず

大ビラで酒を飲めず

女も買えず

■■の手淫病者は

■■

■■■のアゾヒスムス